otoさんのオーディオルーム
■otoさん、とうとう部屋壊しちゃいましたね。衝撃的な一言です■
『 otoさん、とうとう部屋壊しちゃいましたね、結局あの部屋の設計は失敗だったんですね 』 otoさんのブログを最近読み始めた方がポロッと漏らした電話での話題です。

otoさんのブログを最初から読み続けている読者のコメントではないので、少数派であろうとは思いますが、さりとて放置はまずいかな ・・・。
そこでotoさんの改造記が一段落したこのタイミングで、設計、施工、改造の推移を、理論的な見知で解析することにしました。詳細に解析しておけばotoさんが次に迷ったとき、次に打つ手のヒントになるかもしれません。
躯体、床、壁、天井に加え、SVパネルを互に干渉させながら作り上げた音場なので、ごちゃごちゃっと絡み合った糸を解きほぐすパズルを解くような面白さがありますが、結び目が固まってしまってほぐれない糸だって、きっとみつかるでしょう。それが次のブレークスルーのネタになります。
書き始めてみましたが、http://www.salogic.com/DesignGap/DesignGap.html
同時多発の問題点を同時進行で解説すると、書くのも読むのも辛くなる終わりの見えない長さになりそうなので、同じ事柄が重複して登場する煩わしさがありますが、例えば床をテーマに関連項目を網羅する。天井をテーマに関連項目を網羅する。と切り分けることにしました。
同時にotoさんの革新的なアイデアを盛り込んだ改造記がもたらしてくれた大量のノウハウの断片を解析しつつ細部の構造に盛り込んだ36畳のデモルームの設計と施工の方針についても解説します。
■otoさんのオーディオルームの原設計■
otoさんのオーディオルームの原案は長年の夢を詰め込んだ僕の分身です。
大学で電気工学を学び、東芝EMIでレコーディングに没頭しつつも、YMOの録音で使われたLMD649の開発など電気工学にも未練を残し、
日東紡音響エンジニアリング株式会社のオーナー社長であった茂田氏と出会って東芝EMIの第三スタジオの設計を担当し、
退社後に起業した株式会社サーロジックで、DSPによる音場制御システムを商品化してゼネコンの研究所やNHKの技術研究所の研究のお手伝いをさせていただき、そのノウハウから生まれたものが、SW1600A、SW2000D、D.Cube2、など一連のDSP制御のサブウーファです。
そして中学時代から今に続くオーディオの趣味に回帰して夢を膨らませて夢を詰め込んだオーディオルームの図面がotoさんのオーディオルームの原図になりました。
図面は無償提供ですが、今年完成を目指す36畳のデモルーム(32から36に変更)の設計精度を上げるためのプレ・デモルームの位置付けです。
otoさんにはとても不幸な偶然ですが、床の施工ミスが誘発したotoさんの改造パワーによって、期待値の1000%に達するであろう膨大な量の設計施工の珠玉のノウハウが転がり込んできました。

上記写真はオーディオルームの竣工から1年4ヶ月後の2009年12月15日に撮影したものです。設計者の視点からみて99%完成、引き渡し完了、と判断したときの姿です。
2ヶ月後のotoさんのブログに下記視聴レポートがありましたが、ブログのレイアウトが変更された折りに失念した模様です。投稿者にお願いしてコピーをいただきました。
ページ見つかりました。 http://otoaudio.blogspot.com/2010_02_01_archive.html
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音喜多邸訪問(2010.2/12)の感想
聴き始めて直ぐに予想もしていなかった変わり様に驚きました。前回とは全く異なった印象で、これは何だろうという不思議な感覚とともに、過去2回の訪問、村田さんの事、自宅や他で聴いた音の記憶が頭の中でぐるぐる回りました。
そして、何の根拠もありませんが、「これだ!」、「ああ、これで完成したんだ。」と直感しました。
聴き進むに連れてもその印象が変わる事はなく、以前とは別物になった事を確信しましたが、そのように感じたのは自分でも非常に不思議でした。客観的に見れば全く別物という事ではないのでしょうが、少なくとも私自身の受けた印象は今でも変わっていません。
今回で「全体の融合の妙とでも言うべき完成度」に達し、真に「血肉の通った音」になったと思います。
しかし、これを他の方に分かっていただこうとして、ここが良かった、あそこがどうだったと個々の部分を説明しようとすればするほど、私の受けた印象からは遠ざかってしまうような気がしています。下手な例えですが、心臓や血管という要素を個別に取り出していくら詳細に説明しても、血流循環という働きや状態を説明したことにはならないのと同様です。
どんな音だったと聞かれれば、「とにかく騙されたと思って聴きに行く事をお勧めします。幸せな気分になれますよ。」と申し上げるしかありません。
後付の理屈として強いて説明するならば、音を構成する全ての要素が有機的に結び付き、相互に連携しながら絶妙なバランスを保っている、という事でしょうか。
「全体としての纏まりと調和の完成」、あるいは「完全なバランスの獲得」とも言えます。
私には、音の背後に再生、音楽表現の一つのフォルムを実現しようとする統一された意志が感じられ、村田さんの姿が見えるような気がします。
ですが、実際に聴いているときはそんな事はどうでも良くて、ただ楽しいだけで、あくまでも後で考えて言葉にしてみればというだけの話ではあります。
オーディオ的には歪みやデフォルメした部分を含む方が臨場感やリアルな感じなどの効果が出る場合が往々にしてあります。しかし、その音は特定の演奏やジャンルには良くても万能ではなく逆にデメリットとなる場合もあり、その辺りがジャズ向きとかクラシック向きとか言われる所以でもあるのでしょう。
また、一聴して「いい音ですね」、「凄い音ですね」とか音の評価が真っ先に来るような場合は、やがてそれが鼻に付くというか気になってくる事も経験的には多いように思います。
今回の音は、その意味からは際だった特徴が有るわけではなく、普通に聞けば、ただ演奏や楽曲だけに耳が行って音の事は忘れています。
しかし、音自体に注意を向けると、必要な所に必要な音、響きが必要な量だけ十分な音質で過不足無く展開されています。良い音で聞かせようとか、らしく聞かせてやろうというような意図的なものは微塵も感じられません。
スピーカーから出てきた音と部屋の響きがそのまま一体化して音楽、演奏そのものとして存在し、音自体の主張や作為を感じさせません。「何も足さない 何も引かない」というウィスキーのCMがありましたがそんな感じです。
名人と呼ばれる方は、ひょっとしたら真似事くらいなら少しはできるんじゃないかと錯覚しそうになるほど、何の苦労もないかの如く楽々と演じます。厳しい修練の結果によって造作もない事のように見えるだけなのですが、観客にはその苦労はわかりませんし、分からせるようでは名人ではないでしょう。
何の衒いもなく、ごく自然に、音楽と演奏が眼前に易々と展開されるこの音を、音喜多さんは「これは村田さんの音」と言われていましたが、まさに音の職人の名人芸だと思います。
しかし、そうであったとしても、音喜多さんがベストを望まなければ実現しなかった音であることも間違いありません。私だったら早々に満足していたでしょうから、このようなレベルに達する事はなかったと思います。
音の好みや音楽再生に対して望むものは人によって違い、良い音というものも一つではありませんから、この音が絶対で唯一無二と言うつもりはありませんが、到達点の一つの姿であるのは間違いのない事と思います。
無論、これ以上良くなる余地が無いのか言えばまだ若干は残っているのでしょうし、私には想像できませんがもっと素晴らしいものもあるのかもしれませんが、人が音楽の楽しみを享受するのにこれ以上のものが必要とも思えません。
今回はスピーカーの変更、床の補強、天井の布などの大きな変更がありました。前述のように「音楽再生と表現のあり方そのものがこの音の本質」と思いあえて触れませんでしたが、少しだけ補足させていただきます。
スピーカーが高級になったから良くなったのだろうと思われる方もおられると思いますが、私は、それは大きな要素であってもこの音を決める決定的なものではないと感じています。
音を作る全ての要素が一つの目標に向かって有機的に組織、運用されているかどうかが最も重要であり、それはオーケストラと指揮者の関係によく似ています。装置などが不十分であればどうしようもありませんのでその意味での重要性は確かにありますが、部分が全体を決めるわけではないのです。
また、部屋については、ここはF1マシンのようなもので反応が異常に速く、少しでも触ると直ぐに影響が出てしまいます。これだけ高度に調整されていると迂闊には触れないという怖い側面も感じました。
素晴らしい体験をさせていただきましたが、総じて振り返りますと、この音は、オーディオ的な事や先入観の一切を排して無心で向き合う時にこそ、その真の姿を聴くことができるのではないかと思っております。
「忘筌」(ぼうせん)という言葉があります。筌とは魚を捕える竹器の事ですが、「魚を得る目的を達すれば道具の筌は忘れる」という、道具や手段にこだわる事を戒め、目的、本意を大切にせよという意味だそうです。
この音を一言で表すならば、「忘筌の音」なのではないでしょうか。
以上、主観ばかりの訳の分からない文章になってしまいました。大袈裟と思われるかもしれませんが、私の受けたインパクトが如何に大きかったという事だけでも推察いただければ幸甚です。
音喜多さんには平日にもかかわらず長時間のお付き合いをいただき深謝いたします。
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その後の展開は、建築現場の常識が生むオーディオルームにとっての所謂施工ミス(住宅であれば常識的な施工の範疇)が経年変化でいよいよ顕著になり、otoさんの大改造が始まります。
オーディオルームの設計図面に含まれる思惑の真意を図面から酌み取れる大工さんが施工を担当してくれる可能性はほぼ無いのですから、有償で工務店との打ち合わせ、有償で現場に張り付く現場監督を引き受けなければ思惑通りのオーディオルームにはならないですね。
理論的な解析はHPの本文を参照してください。http://www.salogic.com/DesignGap/DesignGap.html
■デモルームが36畳になりました■
雪が溶けるのを待って建築を再開するデモルームは、32畳から36畳にサイズアップになりました。前回レポートした 『 部屋の横長使いで一次反射音を分散配置 』 の検証結果を重く見ての変更です。

天井を支える梁のスパンが日本最大級のプレカットマシンでも刻めない長さに突入するので、設計変更の打ち合わせで一波乱あるかも・・。
デモルームが益々大型になって現実離れが甚だしいと思う読者が多いと思いますが、大型のホーンSPの設置を視野に入れた対応です。トールボーイSPに限れば元のサイズでOKです。
ところで、スピーカーの横長配置を前提にデモルームを設計してみたところ、デモルームからキットへのスケールダウンが簡単になりました、ほぼ同じ形状のままスケールダウンができるのです。
縦長に比べると一回り小さな部屋でも実用的なオーディオルームが作れる点が最大の評価ポイントです(6度傾斜の壁で7.5畳が可能)。オーディオルーム・キットに最適で好都合な変更になりました。






















































































