フォト

SALogic のホームページ

2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

2018年6月21日 (木)

平蔵さん立ち合いで試聴会 / 平蔵さんのリスニングルーム

昨年9月スタート

昨年9月17日にご相談のメールを頂いて以来ですから、棟上げ済の躯体の補強工事も含むとは言え、オーディオルームの内装工事の工期として 9か月は異例の長さです。追加工事の連続でしたから、想像がつかないほど想定外の費用がかかったものと思います。

棟上げ前にご相談いただき、MATRIX-KIT の完全仕様で仕上げていたならば、早く・安く・更に高い完成度が目指せたであろうに、と悔やまれますが、完成度はMATRIX-KITに匹敵します。

躯体の原型が在来工法精度の住宅仕様であったため、MATRIXパネルの目地押さえは埋め込みとせずに取り外し可能に仕上げてあります。将来の狂いの可能性を考慮した仕上げです。

6月12日のブログにUPした測定データが良好であったので。15日に平蔵さんと一緒に音楽再生の試聴を行いました。いつものことながらオーディオ工事は関係各位との意思の疎通がままならず、オーディオルームらしからぬ仕上げになっている部分が幾つかあるのですが、MATRIXパネルが採用されたことでそれらの大半が覆い隠され、過去最高レベルの仕上がりになりました。

一年強かかって作り上げた otoさんのベストコンディションを無調整で軽々凌駕です。

音喜多邸訪問の感想 https://otoaudio.blogspot.com/2010_02_01_archive.html

Oto

最強のスピーカーを準備

超低域の揺さぶりにびくともしない壁面強度に仕上がったので 20Hz迄フラットに再生できるスピーカーシステムを用意しました。

Img_03656700w471h

現場でFIRフィルターのタップ長の短縮が必要になり PL100のインパルスを窓関数で縮めたため 100Hz以下の低域に位相の乱れを生じましたが、無調整の音と比べれば格段の透明度です。

<PL100+SW2000 の周波数特性と位相特性 クロスオーバー60Hz>

Pl100sw20005700w389h

後ろの壁面が音響測定で仮設置した石膏ボードのままなので、低域にそれなりの緩みがありますが、このままでもOKといえるレベルの音楽室に仕上がっています。平蔵さんも大満足のOKなので、23日(土)に関係各位の試聴会を行うことになりました。

平蔵さんの 「Amati Tradition」 は輸入代理店預かりなので、試聴会で使うオーディオシステムはすべてサーロジックからの持ち込み品でです。

平蔵さんのオーディオ機器のセットアップが済んでから後壁を迷路板で仕上げて低域特性の最終調整をすることにして、本日の仕上がりで「住宅棟、リスニングルーム棟、完成検査」の運びとなりました。

23日の試聴会

20Hzを多少UPすることで聴覚の可聴限界の15Hzまでフラットな周波数特性としたPL100なので、試聴会出席者の皆さんの吃驚顔が想像できます。壁揺れがないこの部屋でなければ味わえない超低音の揺らぎを体験して頂きます。

Img_03669800w542h

Photo

関係各位の皆様、長期に渡る音響工事にお付き合いいただき有難うございました。

Img_p081_6

「PL100+SW2000」 周波数特性・位相特性の補正

<野外を無響室に見立てて測定>

Img_2703700w467h

<PL100のオリジナル特性>

Pl100orgoutdoor1652cm

<位相のみフラット補正(F特は補正の必要ない)>

Pl100flatoutdoor1552cm

miniDSP にロードして位相補正を行う PL100 用の.binファイル。miniDSP と PL100 があればお試しください。6144TAP 「PL100-170831-4.bin」をダウンロード

SW2000の周波数特性・位相特性 フラット補正

<SW2000のオリジナル特性>

Sw2000

<周波数と位相をフラット補正(60Hzの画像がなかったので70Hzの遮断例)>

Sw2000_2

20Hz~20000Hzまでフラット仕様のPL100

<タイムアライメント無調整の60Hzクロス>

Pl100sw20004700w389h

<タイムアライメントを合わせた60Hzクロス>

Pl100sw20005700w389h

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2018年6月14日 (木)

低域上昇ポイントの修正方法 / 平蔵さんのリスニングルーム

<後壁吸音>

Img_3402800w533h

<PB+1800sp(反射)>

Img_03536700w555h

上の写真のグラスウール剥き出しが下記測定グラフの「吸音」の状態。グラスウールを石膏ボード一枚で覆い、1800spを配置した下の写真が「PB+1800sp」の状態。

F3

周波数特性のグラフの注目点は下記三点。

1.「PB」と「PB+1800sp」の50Hzの凹

2.63Hz,80Hz,100Hz,125Hzの凸

3.250Hz以上の凸

<1>の凹は石膏ボードの共振点で、ボードが防振されていなければ100Hz以下の帯域に凹が発生する。ボードの大きさや柱の間隔の違いで共振周波数が変化するので、通常50~100Hzの帯域に凹が分布する。グラスウールのように質量の小さいものを押し当てても制振にはならない。

<2>の凸は、柱と間柱で支えられた通常の石膏ボード壁であれば125~300Hzあたりにできる凸、測定のために仮り付けした石膏ボードは間柱の支えが無い大きな振動面なので凸の位置が低域にシフトしている。大きなエネルギーを持つ振動ではないので、防振材を押し当てれば制振が可能。

<3>の凸は、グラスウールの吸音面が石膏ボードの反射面に変わったことによる凸。完成時の仕上げは迷路板なので、凸の傾向に仕上がる。

後壁が迷路板になると

測定のために取り付けた石膏ボードは仕上げ時には廃棄されるので、<1>の極端な凹は解消される。但しグラスウールの奥にある石膏ボードの遮音壁に強度不足がありそうなので、100Hz以下の凹の傾向が残るかもしれない。迷路板による仕上げの前に遮音壁を制振した方が良さそう。

後壁はグラスウールを引き抜けば遮音壁が露出する、質量のある防振材で制振するか、遮音板の貼り増しをすれば残響音の低域上昇ポイントが右にシフトする可能性大。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

部屋の仕上げは聴感で決定する / 平蔵さんのリスニングルーム

徹底したライブ化

この部屋の設計コンセプトは徹底したライブ化です。木造壁のオーディオルームの場合、全ての壁面を反射性にしたとしても、最適残響時間を超えてライブになる可能性がないからです。

長い残響時間を確保することがクラシック系のホールでは最優先の課題、しかし上田市周辺のコンサートホールでこの難題をクリアできているところはありません。オーディオルームと比較したら二桁も三桁も多いコストをかけているにも関わらずです。

クラシックのホールなのに残響音不足に設計施工してしまう原因は響き過ぎによる失敗を恐れるからでしょうか? または多目的化の誘惑でしょうか?

オーディオルームの場合、可能な限りライブにするとは言いつつも、残響時間の周波数特性には厳格なルールがあります。ミッドバス(125~250Hz)帯域の残響時間を一番短くする。100Hz以下の残響時間を急激に長くする。の二つです。

高域の残響時間も緩やかに上昇させたいのですが、ソファーがあったり、足元にマットがあったりなどが影響して、5kHz以上が上昇を続ける部屋は皆無です。高音域の残響音は高音域の拡散反射音で補います。

Photo_2

上記推奨曲線の形に近い周波数特性が得られれば、下記のグラフの最適残響時間(本件では0.7秒程度)まで残響時間を増やすことが可能になる。音楽の包容力や躍動感を最大限に享受できるオーディオルームになります。

600w389h_2
●参考文献 : リスニングルームの設計と製作例 P81 / 加銅鉄平 著 / 誠文堂新光社

残響時間の推奨曲線と測定結果を一枚のグラフに重ね書き

6月12日のページの「良いとこ取り」のグラフと推奨曲線を重ねてみた。「良いとこどり」の低域の姿形は「推奨曲線」と瓜二つで申し分ない。しかし上昇開始のポイントが一オクターブ低域寄りである。

Jpg

低域特性が推奨曲線より左寄りになると高解像度系でポップス向きの低音になり、右寄りになると落ち着きのあるまったり系でクラシック向きの低音になる。

後壁を10mmの隙間を空けた迷路板で仕上げると、低域吸音、中高域反射の壁面になるので、「良いとこ取り」の特性に仕上がるはず。

明日から三日間かけて実施する音楽再生で平蔵さんの意向を伺い、このまま仕上げるのか、上昇ポイントを右に寄せるのかを決定します。

<迷路板仕上げの天井>

Img_03634800w533h

Matrix4013
MATRIX-401 http://salogic.ocnk.net/product/828

後壁は表面に6度の角度を付けたMATRIX-402で仕上げる。

Matrix4023
MATRIX-402 http://salogic.ocnk.net/product/829

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2018年6月12日 (火)

響きの量を決めるためのフィジカルデータの収集 / 平蔵さんのリスニングルーム

後ろ壁面の仕上げを残し、その他の面は仕上げ完了

<左・天井・フロント(リアから前方を撮影)>

Img_03528800w533h

<リア・天井・左(フロントから後方を撮影)>

Img_3538800w533h

広角レンズの特性で小さな面積に見えるが、幅6m * 高さ4.8mの大壁。残響時間の周波数特性の調整役を担う。

二つの条件で残響時間の周波数特性を測定

1.グラスウール剥き出し

2.石膏ボード(PB)でグラスウールに蓋

二つの条件で残響測定を行い、そのデータを比較して最終仕上げを決定する。

<グラスウールの奥行240mm>

Img_3402800w533h

<DSSF3による残響時間の周波数特性測定>

Vs

赤の折れ線が後壁グラスウールのときの残響時間の周波数特性、青が後壁石膏ボードのときの特性。良いとこ取りの編集を加えると下記グラフになる。

<良いとこ取り>

Vsed

DSSF3 吉政電子 http://www.ymec.com/

DSSF3 インストール https://tkd-amp.com/?p=30

後壁の仕上げ決定

200Hzを境に中高域を反射壁、低音域を吸音壁に仕上げれば良いとの結論です。後壁は迷路板の標準仕上げで決定。

●天井の迷路板(MATRIX-401)

Img_3491800w533h

http://salogic.ocnk.net/product/828

●後壁の迷路板(MATRIX-402)

http://salogic.ocnk.net/product/829

平蔵邸で使用の迷路板は栂の無垢材。気乾比重0.5~0.6でヒノキ(0.4)より重い。質量が必要なオーディオルームの壁や天井に最適な材だが、マツ科なので曲がりを削り落として真っ直ぐな材に作り込むまでが大変。予想を大きく超える手間暇がかかってしまった。集成材も視野に入れる必要がありそうだ。

詳細測定

友人作の測定アプリで収集した詳細な測定データ

24he

24wa


Audior

Photo

Sp

Photo_2

DSSF3による測定の「PB+1800sp」相当

F3

517hz3

86hz3

Photo_3

Photo_4

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2018年2月24日 (土)

内装仕上げ / 平蔵さんのリスニングルーム

フロント壁面と天井

Img_3221800w533h

Img_3152800w533h

Img_3127800w533h

左壁面

Img_3142800w533h

入口ドアとドア上部

Img_3203533w800h

Img_3217800w533h

補強前の左壁面

 Img_2782800w533h

補強前の柱は1間(1820mm)間隔に1本であったが、倍に増やして半間(910mm)に1本とした。4寸(120x120mm)であった柱の太さも、幅は4寸のまま、奥行を12寸(360mm)または16寸(480mm)に変更。

オーディオルームを新築するのであれば半間に1本の柱は必須の要件。柱の太さも天井高2.4mなら4寸x8寸(120x240mm)、3mなら4寸x12寸(120x360mm)が最適サイズ。3mを超える設計なら、4寸x16寸(120x480mm)にするか、3m位置に空間梁を設ける。

柱強度の詳細は「平蔵さんのリスニングルーム」 2018年1月26日参照  http://salogic.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-d668.html

Img_p081

内装材は下記三種類を使う

■MATRIX-203■

Matrix538w244h

防振パネル。天井と後壁を除く壁面に使用。

http://salogic.ocnk.net/product/672

その効果は、

1.無振動の壁面になる。

02

■MATRIX-402■

Matrix402

迷路板。長さ2.9mの材の断面図。後ろの壁面に使用。

http://salogic.ocnk.net/product/829

その効果は、

1.壁面が6度傾くので、フロント~リアのフラッターエコーが消える。

2.残響音の低音域のみ迷路状の隙間から吸音層に引き込んで吸音する。

3.直進性が高い中高音は迷路を通過できずに室内に跳ね返る。残響時間の短縮化を防ぐことができる。

Matrix402_2

6度傾き迷路状の隙間から低音を吸音層に引き込んで吸音するノコ刃状の壁面。

■MATRIX-401■

Matrix401

迷路板。長さ2.9mの材の断面図。傾斜天井のみに使用可能な専用材。梁の強度が低くても低域振動を出さない構造で、天井材単体が軽量化されるので施工の安全性も向上する。

http://salogic.ocnk.net/product/828

その効果は

1.低域の振動音を出さないので、天井板が原因のブーミングが起こらない。

2.天井裏を吸音構造にすれば、残響音の低音域のみ吸音層に引き込んで吸音できる。

3.直進性が高い中高音は迷路板が作る迷路を通過できずに室内に跳ね返る。残響時間の短縮化を防ぐことができる。

Matrix401_2

迷路状の隙間がある反射性の平面天井。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

Img_p081

Img_p081

検討中の内装案、Type1

MATRIX-Kit の標準仕様。

床・壁・天井の6面全てが反射壁だが、迷路板の後壁が低音の響き過ぎを吸音して残響時間の低域上昇を抑制する。定在波に起因する伝送特性の凸凹も低域吸音で平坦化される。

リア壁がノコ刃状に6度傾くので、前後・左右・上下すべての対向壁がフラッターエコーフリーになる。

オーディオルームにしぶとくついて回るウイークポイントのすべてを解消した極上モデル。

MATRIX-203

Matrix538w244h

■フロント壁面

01_3

■左右壁面

02

03

■天井の前方 1/3

Photo_4

MATRIX-401

Matrix401

■天井の後方 2/3

Photo_5

MATRIX-402

Matrix402

■後壁全体

Photo_6

Img_p081

Img_p081

検討中の内装案、Type2 (左右壁面以外はType1と同じ)

MATRIX-401

Matrix401

左右壁面の上部のみ迷路板 「MATRIX-401」 に変更してコスト削減。

3

Photo_3

防振パネル「MATRIX-203」は「MATRIX-Kit」の躯体と組み合わせて同一サイズで量産すれば大幅値引きが可能な商品です。

在来工法で作られた本件はマス目のサイズがバラバラで量産効果が得られません。迷路板ならマス目のサイズがバラバラでも標準品が使えるので、「MATRIX-203」を「MATRIX-401」に変更してコストを抑えたご提案。

Img_p081

Img_p081

検討中の内装案、Type3 (左右壁面以外はType1と同じ)

MATRIX-401

Matrix401

スピーカー周辺以外の左右壁面を迷路板 「MATRIX-401」 に変更してコスト大幅

削減。

Photo

Photo_2

迷路板は柱強度が低い壁面に設置してもブーミングを起こさない壁材で、加えて中高音域は室内に跳ね返す構造です。しかし若干ですが迷路をすり抜けて吸音層に入り込んでしまう中高音があるので、完全反射の「MATRIX-203」と比較すれば残響時間の高音域が短くなります。

柱強度が低い躯体に使える性質を利用して、既存の居間をオーディオルームに改装するのが目的の建材ですが、本案のような使い方も可能です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2018年1月26日 (金)

低音域のみ吸音する / 平蔵さんのリスニングルーム

リスニングルーム建築の基本スタンス

1.周辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する 

2.フラッターエコーの発生を抑える

3.柱と壁の揺れをなくす

4.吸音は低音域のみとし、中高音域は吸音しない

リスニングルームの建築や改装は、上記4項目を達成して部屋が完成すれば成功間違いなしです。

オーディオ機器をセットしてから再生音をじっくり吟味し、オーナーの好みに合わせて低音の響き具合(吸音量)を調整する。中高音域の反射音の拡散方向とその量を最適化する。以上で完成です。

しかし建物の制約などから実現不可能な項目が恐らく発生するでしょう。そのときに次善の策になりえる代案をひねり出せるか否かがオーディオルームの成否を決定します。

では棟上げが済んだ平蔵さんのリスニングルームの<1>~<4>について瑕疵がないか検証です。

Img_p081

4.低音域のみ吸音する

広葉樹の銘木の枯渇による価格高騰で、リスニングルームの壁材に広葉樹の堅木が使われる可能性はあまり無いと思います。

リスニングルームを桧や松・杉などの針葉樹で内装すると、材自身の柔らかさが高音域を吸音してしまい、残響音の高音域が必要量に達しません。

従って建築設計の段階で中高音域の吸音を考慮する必要は全くありません。中音域の響きが若干多めに仕上がることがありますが、リスニングルーム完成後の音響調整で中音域の残響時間の短縮は自由にできます。

低音域の吸音は100Hz以下と100Hz以上に分けて対策します。STW1500パネルで100HZ以下の帯域の吸音が可能であり、SVEパネルで100Hz以上の帯域の吸音が可能なので、建築設計による低域吸音が必須ではありませんが、100Hz以下の響きの吸音を建築設計で済ませておくと大型の吸音パネルが不要になってスッキリ・スマートなリスニングルームに仕上がります。

本件では後ろの壁内に100Hz以下の吸音層を設けました。厚さがあり、縦方向に長く伸びるグラスウールが低音を吸音します。

2

中高音域が吸音されないよう、音の進入路を迷路化しました。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

柱と壁の揺れをなくす / 平蔵さんのリスニングルーム

リスニングルーム建築の基本スタンス

1.周辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する 

2.フラッターエコーの発生を抑える

3.柱と壁の揺れをなくす

4.吸音は低音域のみとし、中高音域は吸音しない

リスニングルームの建築や改装は、上記4項目を達成して部屋が完成すれば成功間違いなしです。

オーディオ機器をセットしてから再生音をじっくり吟味し、オーナーの好みに合わせて低音の響き具合(吸音量)を調整する。中高音域の反射音の拡散方向とその量を最適化する。以上で完成です。

しかし建物の制約などから実現不可能な項目が恐らく発生するでしょう。そのときに次善の策になりえる代案をひねり出せるか否かがオーディオルームの成否を決定します。

では棟上げが済んだ平蔵さんのリスニングルームの<1>~<4>について瑕疵がないか検証です。

Img_p081

3.柱の揺れをなくす

体験から得たリスニングルームの床・壁・天井を支える柱の太さと長さの関係は、4寸(□120mm)の柱を半間(910mm)間隔の支点で支えればリスニングルームの 床・壁・天井 が必要とする振動強度を十分に満足します。

同じ柱を1間(1820mm)間隔で支えると、振動強度は明らかに不足します。支点間隔が2倍になると柱の揺れが8倍に膨れ上がることがその原因です。

900vs1800

http://www.salogic.com/DesignGap/DesignGap.html

リスニングルームの天井は、高ければ高いほど、定在波の影響が低域にシフトするので音楽再生に有利。と一般に考えられています。

上記の体験例から、4寸の柱で理想的な範囲の壁揺れの量に収まる天井の高さが 1m であると仮定し、その時の柱のたわみ量(壁の揺れ幅)を 1 として、天井の高さが 3m、4m、5m の部屋の柱がどれほどたわむのかを計算で求めると下記の表になります。

332w160h

2m以上になると許される限界をはるかに超えた壁揺れが発生します。

一方柱の奥行を増やすと壁揺れの減少幅は天井の高さと丁度逆数の関係になるので、天井高と同じ倍数で柱の奥行を増やせば壁揺れ1倍を維持することができます。

332w160h_2

ボーカル帯域のブーミングを避け、ベースやバスドラムのスピード感と超低音域への沈み込みを追求するのであれば、高い天井には奥行きのある柱の採用が必須の要件です。

4寸の柱のまま天井を高くすると、定在波の改善効果を帳消しどころか遥かに上回るブーミングやスピード感の低下を招く。ということを忘れてはなりません。

Img_p081

3.壁の揺れをなくす

平蔵さんのリスニングルームでは、床からの高さ3mの位置に空間梁を設け、柱を固定する支点の幅をを3m以内としました。そして柱の奥行を 3倍に増やし、壁の揺れ幅を 27倍 x 1/27倍 = 1倍に維持しています(部屋の使い勝手やデザイン上の理由ですべてではない)。

柱の奥行を 4寸の柱の 3倍に増やして壁の揺れ幅 1倍が維持されている壁面の壁材は無条件に頑丈であれば良く、共振周波数が異なる合板や石膏ボードを貼り合わせた壁材を使用します。

柱の奥行が 4寸の2倍で壁の揺れ幅が8倍になる壁面には、低音の音圧が柱にダイレクトに伝わらない弾力性のある壁材を使用します。頑丈すぎる壁材を配置すると、ベースやバスドラムのスピード感が失われ、超低音域への沈み込みが失われる 70~80Hzの壁振動音が発生するからです。但し壁板が共振して揺れが増幅されることがないよう、防振構造にする必要があります。

壁材は内装工事の進行に合わせて改めて解説します。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

フラッターエコーの発生を抑える / 平蔵さんのリスニングルーム

リスニングルーム建築の基本スタンス

1.周辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する 

2.フラッターエコーの発生を抑える

3.柱と壁の揺れをなくす

4.吸音は低音域のみとし、中高音域は吸音しない

リスニングルームの建築や改装は、上記4項目を達成して部屋が完成すれば成功間違いなしです。

オーディオ機器をセットしてから再生音をじっくり吟味し、オーナーの好みに合わせて低音の響き具合(吸音量)を調整する。中高音域の反射音の拡散方向とその量を最適化する。以上で完成です。

しかし建物の制約などから実現不可能な項目が恐らく発生するでしょう。そのときに次善の策になりえる代案をひねり出せるか否かがオーディオルームの成否を決定します。

では棟上げが済んだ平蔵さんのリスニングルームの<1>~<4>について瑕疵がないか検証です。

Img_p081

2.フラッターエコーの発生を抑える

フラッターエコーは対向した平行壁があると必ず発生します。その壁が板壁であればフラッター時間が1秒を超えることも珍しくありません。癇に障る喧しさが楽音に混ざり込み、音楽鑑賞の大きな障害になります。

本件はフロントとリアの壁面が平行で、フラッターエコーの発生が見込まれますが、設計施工の難易度の大幅アップを避け、建築コストの増加を最小限に抑えるためには妥当な設計といえます。

Img_p081

内装材の形状をフラッターレスにする

6度の傾きがあればフラッターレスになるので、リア壁の表面材を6度傾ける。

2

これで 「天井/床」・「左/右壁」・「フロント/リア」 のすべてでフラッターレス完成です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

遮音(窓) / 平蔵さんのリスニングルーム

リスニングルーム建築の基本スタンス

1.周辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する 

2.フラッターエコーの発生を抑える

3.柱と壁の揺れをなくす

4.吸音は低音域のみとし、中高音域は吸音しない

リスニングルームの建築や改装は、上記4項目を達成して部屋が完成すれば成功間違いなしです。

オーディオ機器をセットしてから再生音をじっくり吟味し、オーナーの好みに合わせて低音の響き具合(吸音量)を調整する。中高音域の反射音の拡散方向とその量を最適化する。以上で完成です。

しかし建物の制約などから実現不可能な項目が恐らく発生するでしょう。そのときに次善の策になりえる代案をひねり出せるか否かがオーディオルームの成否を決定します。

では棟上げが済んだ平蔵さんのリスニングルームの<1>~<4>について瑕疵がないか検証です。

Img_p081

1.周辺辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する

建築半ばで音質最優先に方針を変更したため、音質優先と遮音の確保にトレードオフが発生しています。平蔵さんは音質優先を譲ることは出来ないでしょうから、遮音設計を変更しなければなりません。

1.寝室への音漏れ対策。

2.天井の遮音対策。不明点が多いので点検して40dB以上を確保する。

3.窓の遮音性能が20dB程度。40dBを確保する。

Img_p081

3.窓からの音漏れを防ぐ

天井に一つ、フロントに二つ、左右にそれぞれ一つ、計5枚のガラス窓があります。

Img_2792700w467h

Img_2957700w467h

天井の窓からの音漏れは空方向。フロントの窓からの音漏れは道を挟んで燐家方向だが、スリット状の小さな窓。

左の窓からの音漏れは、道を超え、川を越えて川向こうの住宅方向。右の窓からの音漏れは、実家の住宅方向。

そしてどれも小さな窓。そんな条件なので、窓ガラスの遮音性能は低音域で40dB程度が目標値です。

設計図面によると、窓はすべて複層ガラスのサッシ一枚仕様。複層ガラスの低音域の遮音性能は20dB程度。高音域もコインシデンス周波数で30dB程度なので、大き目の声で話せば会話の内容が理解できる程度に漏れてしまいます。

●複層ガラスの遮音性能。中空層 6mm と 12mmの比較。

Photo_4

柱が頑丈で窓が小さいので、単板ガラスのサッシを室内側に追加して二重サッシにすれば、合算で40dBを超える遮音性能が得られる計算になりますが、窓はグラスウールなどの吸音材を中間に入れることが出来ないので、コインシデンス効果も加わって計算値ほどの遮音性能は期待できないでしょう。

隣家まで距離があるので距離減衰を期待して良しとするか、燐家からクのレームに対応できるよう、後付けで三重サッシも可能な窓枠構造にしておくとベストです。

●単板ガラスは厚さ10mmを超えるとコインシデンス周波数の遮音性能低下が小さくなる。

Photo

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2018年1月25日 (木)

遮音(屋根・天井)/ 平蔵さんのリスニングルーム

リスニングルーム建築の基本スタンス

1.周辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する 

2.フラッターエコーの発生を抑える

3.柱と壁の揺れをなくす

4.吸音は低音域のみとし、中高音域は吸音しない

リスニングルームの建築や改装は、上記4項目を達成して部屋が完成すれば成功間違いなしです。

オーディオ機器をセットしてから再生音をじっくり吟味し、オーナーの好みに合わせて低音の響き具合(吸音量)を調整する。中高音域の反射音の拡散方向とその量を最適化する。以上で完成です。

しかし建物の制約などから実現不可能な項目が恐らく発生するでしょう。そのときに次善の策になりえる代案をひねり出せるか否かがオーディオルームの成否を決定します。

では棟上げが済んだ平蔵さんのリスニングルームの<1>~<4>について瑕疵がないか検証です。

Img_p081

1.周辺辺環境を考慮して必要な遮音性能を確保する

建築半ばで音質最優先に方針を変更したため、音質優先と遮音の確保にトレードオフが発生しています。平蔵さんは音質優先を譲ることは出来ないでしょうから、遮音設計を変更しなければなりません。

1.寝室への音漏れ対策。

2.天井の遮音対策。不明点が多いので点検して40dB以上を確保する。

3.窓の遮音性能が20dB程度。40dBを確保する。

Img_p081

2.天井からの音漏れを防ぐ

Photo

上記が原設計図です。

スピーカーが出す低音の圧力は、床・壁・天井のすべてに等しく行き渡ります。70Hz前後に壁振動があると、バスドラムやベースのドライブ感に、ボンツキというブレーキがかかります。

天井の振動強度は床や壁の強度に見劣りすることが多く、多くのケースで天井がドライブ感のブレーキ役になります。

そこで振動強度を高めることが難しい板貼り天井を止め、振動しても70Hzの振動音を出すことがない角材の平行貼りを提案をしたのですが、上記原図面の天井材を角材の平行貼りに単純置き換えすると、低音域の遮音性能は15dB程度に激減します。

Photo_2

Img_p081

屋根材の遮音性能 : 12dB

外側から、ガルバリウム鋼板とアスファルトルーフィングで低域の遮音性能は6dBか、もっと少ないか程度。

DAIKEN 遮音ボード(ビルボード)厚9.0 https://www.daiken.jp/product/detail/taishin/15100188.html

125~250Hzの雨音減少率の平均値:0dB、500Hz:8dB です。楽音が外に漏れる量も同じなので。ビルボードに低域の遮音性能はありません。金属屋根の振動の持続をダンプして雨音を防ぐボードです。

Daiken

野地合板

ラーチ合板 厚12とすると、低域の遮音性能は6dB程度でしょう。

●屋根材全部合わせて遮音性能は12dB程度(聴感音圧で1/4)。石膏ボード t12.5 一枚相当です。

Img_p081

天井材の遮音性能

遮音パネル10 + 石膏ボード 厚9.5 + 遮音シート 厚1.2

屋根材と合わせて、下記③の構造に近く、グラスウール層が300mm強あることを考慮すると、屋根材と天井材合わせて測定グラフの緑のラインを6dB程度上回る遮音性能であろうと推測できます。

125Hz:22dB, 250Hz:38dB, 500Hz:47dB,

22dBは会話の内容が聴きとれる程度の遮音性能ですから、原設計のままでも遮音性能が不足します。

Sc14454w190h_2

Sc14

従って、スリット構造の天井材を設けるとしたら、原設計の天井を残したまま、その下に新たに加える必要があります。その場合でも、できれば原設計の天井の遮音率を上げる(2重天井にするなど)工夫を加えた方が良かろうと思います。

●再生音の音質は、リスナーから視覚で見える表面材の特性でほぼ決まります。スリット構造の天井材の裏側に、遮音強化のための新たな遮音板を追加し、その板に多少の振動があったとしても、再生音への影響は軽微です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

«遮音(寝室) / 平蔵さんのリスニングルーム