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« 一次反射音が魅惑の再生音場を作る - Part1 - | トップページ | オーディオの難問を解決/定在波吸音パネル »

2012年12月26日 (水)

平成24年度、無償ルームチューニング総括

無償ルームチューニングでオーディオマニア宅の訪問を始めてそろそろ10年です。最初の数年は、お尋ねする部屋それぞれから新しい発見があり、それらの共通項から部屋の音を制御するパラメータの仕組みや制御方法が明らかになり、とても有意義な時間を皆様から提供していただいたと感謝しています。

そして数百回を重ねた近頃は、音の様子と部屋の作りを電話で伺うことで、特殊な構造の例外を除けば改善の方針を決められること、現地調整から新らしい発見がめっきり減ってしまったこと、などが重なって、ルームチューンに出かける回数がじわじわ減り続けています。しかし現地チューンを行えば、貴重な新発見や仮説の証明に行き当たることがまだまだあります。今年も貴重な収穫がありました。

■ 狭い部屋の遮音力強化は音楽再生に有害 ■

今年の夏に一回、つい先日の冬に一回、全く同じ体験がありました。夏の体験は新築直後の業務用のリミックスルームで、低域が過度にボンつき、マルチ音源からステレオへのリミックスが困難、ルームチューニングで直して欲しいとの依頼。

深夜でも大音量が出せることを前提に、遮音強化最優先で施工したプライベートのリミックスルーム。左右方向、前後方向、上下方向の寸法が全て2.7mの正方形の部屋でありました。部屋のセンターで聞こえる音は低音感皆無の音、壁に少し近づくとドカドカブンブンの低音だらけの音でした。

64Hzの定在波

原因は定在波の半波長共振(基本定在波)による64Hzで、デモ用のSVパネルの吸音領域ではないことを告げて終了となりました。LVパネルなら多少は効果が有ったかもしれませんが・・。部屋の三辺が同寸法で揃ったときの完全密閉空間の基本定在波は強烈で、直す術はありません。

<SVU(SV)パネルのミッドバス吸音特性>

Svu1800a1samidbass_3

<LVパネルのミッドバス吸音特性>

Lv1800midbasshcut

続く冬の体験は7.5畳のやはり遮音を強化したオーディオルームで、ブーミングがある部屋特有の会話の声のコモリは無い、しかし低音がボンつく部屋です。バスドラムとベースの1音だけが極端にボンつくのです。


70Hzの定在波
部屋寸法の上下と左右の距離がほぼ同じで、定在波の半波長共振周波数を計算したところ70Hz程度。夏の部屋と同じ症状。原因は定在波共振による70Hzで、SVパネルの吸音帯域ではないことを告げて終了となりました。

■基本定在波の周波数が50Hzを超える部屋の場合、遮音を強化すると低音がボンつく。(基本定在波の周波数の計算式は「344m(音速)÷ 壁間距離の2倍」。例えば壁間距離が3mであれば、344÷657.3Hz

50Hz以上と40Hz以下で定在波の振る舞いが正反対になる

基本定在波の周波数が50Hz以上の部屋は遮音弱めが低音のボンつき防止に有効で、例えば石膏ボード一枚程度の遮音であれば、低音感を無難に満たした上でボンツキも少ない。

基本定在波の周波数が
40Hz以下の部屋であれば定在波は沈み込む低音を強化する。従って遮音を強化すると超低音が豊かに出る。


具体例を挙げると、

6畳=1.5*2間=2.5567Hz 従って遮音力の強い壁はNG12.5mmの石膏ボード程度の遮音が適当。

8畳=2間*2間=3.4549Hz SPの後ろの壁は石膏ボード+合板、その他は石膏ボード程度の強弱メリハリをつけた遮音。

12畳=*3間=3.4549Hz 上記と同じ。

15畳=2.5*3間=4.35m39Hz 基本定在波が40Hz以下になれば壁強度を上げられるので石膏ボードの内側に合板の重ね貼りやブロックの積み上げが可能。

ブロックは低音を着地させるので、高さ120cmくらいまでが無難。


天井が低ければ石膏ボード一枚または合板一枚として遮音を弱め、突っ張り棒でミッドバスの振動を止める。吹き抜け天井であれば梁を頑丈にして石膏ボードの内側に合板の重ね貼りなど。

下記に天井裏に突っ張りのアイデアが投稿されました、着想が素晴らしい。

http://community.phileweb.com/mypage/entry/3559/20121225/34561/

<突っ張りも入れ方次第で部屋に馴染みます>
Nak0002690w510h
http://www.salogic.com/home-select.files/home-48.htm


40
~50Hzの定在波はグレーゾーン

基本定在波の周波数が4050Hzはグレーゾーンだが、遮音弱目またはSPの後ろの壁のみ遮音強化程度が無難。

ルート以外の定在波(ルートの整数倍の周波数)が、耳で感じる低音に大きな影響を与えたとの経験や実感は一つの例外を除いてありません。

<コンクリート打ちっぱなしで内装無しの部屋>

Xrt26l337wb
http://www.salogic.com/home-select.files/home-s-sub.htm

音楽再生にダメージを与える定在波は、上記のような特殊な例を除けば、ルートの周波数に限っても良さそうです。検証例が少ないので断定はできませんが・・

●一つ前提条件を書き忘れました。石膏ボードはミッドバスのブーミングの原因である板振動を起こします。上記考察はSVパネルやLVパネルによりミッドバスを吸音しないと成立しません。
オーディオルームは石膏ボードに壁紙が多いので、実践例など投稿してください。

最後に今年の締めくくりを一言。

オーディオの初心者の中に、木を見て森を見ない嗜好のマニアがいます。音楽を聞くときにボーカルだけ、とか、ベースだけ、のように単体の音にだけに耳をそばだててしまい、他の楽器も含めたアンサンブルの調和やホールの響きとのブレンド具合などを無視する聞き方です。ホールも含めた楽団員全体の調和を美しくまとめるのがルームチューンなので、木を見て森を無視する聞き方をするオーディオの初心者にはルームチューンは時機尚早です。

このタイプのオーディオの初心者は、甘さ/硬さが好みに合うSPやアンプやケーブルを選ぶだけで良いので手間がかからない筈なのですが、音質のみに注目したオーディオは札束のネギを背負ったカモになる可能性大なので要注意です。録音された音から必ず好みの音が出ると思ってはいけません。プロとは言え、他人の好みで作られた音なのですから。

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