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2012年12月19日 (水)

一次反射音が魅惑の再生音場を作る - Part1 -

ブログのスタートから15ヶ月になりますが、ハイエンドショウのブースチューニング(12.10.07)が過去最多の掲載当日アクセス数を記録しました。記事中の<反射音を使ってCDの音をLPの再生音に近づける>に読者の興味が集まった模様です。

心ゆくまで音楽を楽しみたい、アナログ音源の方がCDに比べ、より魅惑的な音楽が聴けるはずだ、そんな思いがひしひしと伝わってきました。

そこで、CDの再生音をLPに近づけるべく、一次反射音の使いこなしの奥義を文章にまとめることにしましたが、奥が深いし探求道半ばでありますので、ロジックに矛盾がでるかもしれませんがご容赦ください。今日現在の知識を書き綴ってみることにします。

例えば吸音壁より反射壁のほうが音楽の躍動感がアップするらしい、と分かったとします。でも全ての壁や天井を均一な反射特性にしたらトンネルの中にいるような音になってしまいます。

一次反射音を増やすべきエリアと、増やさない方が良いエリアがあって、反射音の周波数特性も反射部位によって最適値が大きく異なります。

一例を上げれば、床または床に近い壁面からの反射音は低音の含有量が多い音にした方がナマ演奏のステージの佇まいを彷彿とさせる地に足がついた安定感が得られるし、反射音同士の位相干渉も制御できる範囲で発生を許すと、音に包み込まれる安堵感が得られます。

天井または天井に近い壁面からの反射音は5k~8kHzの含有量が多い音が心地よいのですが、平面からの均一な反射音が強いと心地良さより騒がしさが勝ってしまうのです。しかしその音を拡散反射させると音の色彩密度が上がり、内声部の音まではっきり聞き取れる程個々の楽器の存在感が高まります。

■ マトリックスキットによる32畳デモルーム ■

そこで、取っ掛かりとして、マトリックスキットによる32畳のデモルームの音響構造を理解していただき、その構造に見合う天井材や壁材の形状、必要とする特性などについて解説します。既存のオーディオルームのチューニングにも応用できるよう解説します。

<画像1 デモルームのオーディオスペース>
Matrix06c800w283h_2

コンサートホールやオーディオルームの設計は、定在波による音圧分布の予測、位相干渉による音圧分布の予測、それらから伝送特性を算出し、内装に使う建材の吸音率から残響時間と残響音の周波数特性を算出して実施するのですが、

これらは半世紀を超える長年月をかけて解析し尽されて設計に利用されているにもかかわらず、数値が良いのに音楽鑑賞に支障を来すほどのオーディオルームが存在するし、基準から大きく乖離した数値を示すのに楽しい音楽を奏でるオーディオルームも数多存在します。

つまりヒトの感性にダイレクトに訴えかけ、物理特性を超える影響力を持つ重大なパラメータが設計思考から抜け落ちており、解析されていないのです! 

1.建築材料の振動が引き起こすブーミングの解析
2.初期反射音、特に一次反射音が醸す立体定位の解析

この<Part1>では、デモルーム設計の根幹を成す、壁振動を止める方法、ブーミングを止める方法、ブーミングと3次元定位に関与する一次反射音の扱いについて概説します。詳細は<Part2>以降として日を改めます。

低音振動とブーミング
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ブーミングの駆逐には原因を元から断つ根治療法と、発生後に打ち消す対症療法の二つがあります。新築であれば勿論のこと根治療法が最適であり、既存の部屋ではミッドバスを吸音するSVパネルによる対症療法が適しています。

基礎と土台を一体化する、柱を太くする、左右の柱のTopを梁で繋ぐ、などがブーミング対策の常套手段ですが、柱を太くするにしても費用対効果の限界があるし、いかに太くしようとも揺れがゼロにはなりません。詳細は「構想と成果のギャップ」参照。 http://www.salogic.com/DesignGap/DesignGap.html  RCであっても大きな平面の大太鼓振動による不快が発生します。

調音壁と遮音壁を独立させる
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<画像2>がデモルームの躯体構造のパースです。右側50畳の遮音スペースの中に調音壁に囲まれた32畳のオーディオルームが収まっています。

<画像2 躯体構造のパース>
Matrix05


そして<画像3>が低音対策のイメージ図です。オーディオルーム内部の音圧を、例えば天井から閉鎖空間に開放し、オーディオルームの外側からの圧力で超低音の壁振動をキャンセルします。

<画像3 壁振動を止める>
Matrix07

このデモルームは 15~4Hzを再生するスーパーサブウーファの設置を予定しており、最大天井高が5mにせまる部屋でもあり、壁圧キャンセル機構が必須の条件でした。

音速が無限大ではないので、内外の音圧が位相も含め完全一致とはなりませんが、内側だけに音圧があって、一方的に押し引きされる従来型のオーディオルームに比べれば大きな改善が見込めます。

外側の建物をRCにするなど、遮音性能が上がって外圧が増えれば増えるほど内外圧力差が均衡して壁振動が小さくなります。鬼太鼓座の体を圧する爆音にだって耐えることができる木創のオーディオルームです。

オーディオルームは遮音性能を強化すればするほど低域の不具合が強く出ると言われていますが、このトレードオフのジレンマも一発解消です。

そしてこの方式の簡易版がSVパネルによるルームチューニングだと気づいた方がいると嬉しいのですが。SVパネルを壁にベッタリ木ねじ止めしてはいけない理由です。

遮音ルームの壁揺れの影響が耳に届きにくくなります。

<画像4 SVパネルによるルームチューニング>
Matrix08



天井の構造
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さて低域の制御方針が決まったところで、ミッドバスの制御、中高音域の反射、施工のし易さ、の条件を加えて天井の構造を決めてしまいましょう。

1.低音を透過させる --> 隙間を開ける
2.ミッドバスの振動音を阻止する --> 振動の単位面積を小さくする

天井からの反射音は低音成分少なめが良い、低域透過は理にかなっている。

大きな板面からの反射音は板の振動音が反射音にミックスされて聴覚に低域過多、或いは、高域不足の印象を与える。大きな平面を小さな平面の集合体で構成すれば、小さな面の裏と表の逆位相がミッドバス以下の低音振動を相殺する。

幅100mm、厚さ40mm程度の板材を不規則な幅の隙間を開けて天井を構成する。

3.中高音域を拡散反射させる --> 天井材をエンボス加工する
4.軽くする --> 小さな材の集合で天井の面を作る

拡散が必要な反射音の帯域は 5k~8kHz、天井材の表面にエンボス加工の凸凹を設けると方向感のない高音域の拡散音が増える。幅100mmの板材なら施工が楽。

<参考画像>
Matrix10_5
http://www.salogic.com/home-select.files/home-136.htm

<参考画像 長野国際音楽村、ホールこだま>
Matrix11

参考例の天井材は横方向張り、オーディオルームは縦張りが鉄則。

- Part2 - に続く

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