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ルームチューニング

2012年12月26日 (水)

平成24年度、無償ルームチューニング総括

無償ルームチューニングでオーディオマニア宅の訪問を始めてそろそろ10年です。最初の数年は、お尋ねする部屋それぞれから新しい発見があり、それらの共通項から部屋の音を制御するパラメータの仕組みや制御方法が明らかになり、とても有意義な時間を皆様から提供していただいたと感謝しています。

そして数百回を重ねた近頃は、音の様子と部屋の作りを電話で伺うことで、特殊な構造の例外を除けば改善の方針を決められること、現地調整から新らしい発見がめっきり減ってしまったこと、などが重なって、ルームチューンに出かける回数がじわじわ減り続けています。しかし現地チューンを行えば、貴重な新発見や仮説の証明に行き当たることがまだまだあります。今年も貴重な収穫がありました。

■ 狭い部屋の遮音力強化は音楽再生に有害 ■

今年の夏に一回、つい先日の冬に一回、全く同じ体験がありました。夏の体験は新築直後の業務用のリミックスルームで、低域が過度にボンつき、マルチ音源からステレオへのリミックスが困難、ルームチューニングで直して欲しいとの依頼。

深夜でも大音量が出せることを前提に、遮音強化最優先で施工したプライベートのリミックスルーム。左右方向、前後方向、上下方向の寸法が全て2.7mの正方形の部屋でありました。部屋のセンターで聞こえる音は低音感皆無の音、壁に少し近づくとドカドカブンブンの低音だらけの音でした。

64Hzの定在波

原因は定在波の半波長共振(基本定在波)による64Hzで、デモ用のSVパネルの吸音領域ではないことを告げて終了となりました。LVパネルなら多少は効果が有ったかもしれませんが・・。部屋の三辺が同寸法で揃ったときの完全密閉空間の基本定在波は強烈で、直す術はありません。

<SVU(SV)パネルのミッドバス吸音特性>

Svu1800a1samidbass_3

<LVパネルのミッドバス吸音特性>

Lv1800midbasshcut

続く冬の体験は7.5畳のやはり遮音を強化したオーディオルームで、ブーミングがある部屋特有の会話の声のコモリは無い、しかし低音がボンつく部屋です。バスドラムとベースの1音だけが極端にボンつくのです。


70Hzの定在波
部屋寸法の上下と左右の距離がほぼ同じで、定在波の半波長共振周波数を計算したところ70Hz程度。夏の部屋と同じ症状。原因は定在波共振による70Hzで、SVパネルの吸音帯域ではないことを告げて終了となりました。

■基本定在波の周波数が50Hzを超える部屋の場合、遮音を強化すると低音がボンつく。(基本定在波の周波数の計算式は「344m(音速)÷ 壁間距離の2倍」。例えば壁間距離が3mであれば、344÷657.3Hz

50Hz以上と40Hz以下で定在波の振る舞いが正反対になる

基本定在波の周波数が50Hz以上の部屋は遮音弱めが低音のボンつき防止に有効で、例えば石膏ボード一枚程度の遮音であれば、低音感を無難に満たした上でボンツキも少ない。

基本定在波の周波数が
40Hz以下の部屋であれば定在波は沈み込む低音を強化する。従って遮音を強化すると超低音が豊かに出る。


具体例を挙げると、

6畳=1.5*2間=2.5567Hz 従って遮音力の強い壁はNG12.5mmの石膏ボード程度の遮音が適当。

8畳=2間*2間=3.4549Hz SPの後ろの壁は石膏ボード+合板、その他は石膏ボード程度の強弱メリハリをつけた遮音。

12畳=*3間=3.4549Hz 上記と同じ。

15畳=2.5*3間=4.35m39Hz 基本定在波が40Hz以下になれば壁強度を上げられるので石膏ボードの内側に合板の重ね貼りやブロックの積み上げが可能。

ブロックは低音を着地させるので、高さ120cmくらいまでが無難。


天井が低ければ石膏ボード一枚または合板一枚として遮音を弱め、突っ張り棒でミッドバスの振動を止める。吹き抜け天井であれば梁を頑丈にして石膏ボードの内側に合板の重ね貼りなど。

下記に天井裏に突っ張りのアイデアが投稿されました、着想が素晴らしい。

http://community.phileweb.com/mypage/entry/3559/20121225/34561/

<突っ張りも入れ方次第で部屋に馴染みます>
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http://www.salogic.com/home-select.files/home-48.htm


40
~50Hzの定在波はグレーゾーン

基本定在波の周波数が4050Hzはグレーゾーンだが、遮音弱目またはSPの後ろの壁のみ遮音強化程度が無難。

ルート以外の定在波(ルートの整数倍の周波数)が、耳で感じる低音に大きな影響を与えたとの経験や実感は一つの例外を除いてありません。

<コンクリート打ちっぱなしで内装無しの部屋>

Xrt26l337wb
http://www.salogic.com/home-select.files/home-s-sub.htm

音楽再生にダメージを与える定在波は、上記のような特殊な例を除けば、ルートの周波数に限っても良さそうです。検証例が少ないので断定はできませんが・・

●一つ前提条件を書き忘れました。石膏ボードはミッドバスのブーミングの原因である板振動を起こします。上記考察はSVパネルやLVパネルによりミッドバスを吸音しないと成立しません。
オーディオルームは石膏ボードに壁紙が多いので、実践例など投稿してください。

最後に今年の締めくくりを一言。

オーディオの初心者の中に、木を見て森を見ない嗜好のマニアがいます。音楽を聞くときにボーカルだけ、とか、ベースだけ、のように単体の音にだけに耳をそばだててしまい、他の楽器も含めたアンサンブルの調和やホールの響きとのブレンド具合などを無視する聞き方です。ホールも含めた楽団員全体の調和を美しくまとめるのがルームチューンなので、木を見て森を無視する聞き方をするオーディオの初心者にはルームチューンは時機尚早です。

このタイプのオーディオの初心者は、甘さ/硬さが好みに合うSPやアンプやケーブルを選ぶだけで良いので手間がかからない筈なのですが、音質のみに注目したオーディオは札束のネギを背負ったカモになる可能性大なので要注意です。録音された音から必ず好みの音が出ると思ってはいけません。プロとは言え、他人の好みで作られた音なのですから。

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2012年10月 7日 (日)

ハイエンドショウのブースチューニング

ハイエンドショウのブースをチューニングしたいと、二つの会社からSVパネルの貸し出し依頼がありました。その内の一つ YoshinoTrading さんのブースの写真が公開されたので、SV/SVUパネルの使用状況などをピックアップしました。

Yoshino07

皆さん着席されているのでセンターパネルの高さは 1.2~1.3mが最適値ですが、ラックやアンプが邪魔をするので、オーディオショウのセンターパネルは若干背丈を上げるべきですね。

但しスピーカーパネルとセンターパネルの高さが揃ってはまずいので(奥行きも含め立体感が希薄になる)、次回はスピーカーパネル1.8m、センターパネル1.5mをお勧めすることにします。

Yoshino01

メグのジャズイベントで久しぶりに再会した、村井さん、田中さんの講演があったようです。

Yoshino04

Yoshino05_4

「昨日ハイエンドショウ2012へ行ってきた。連休前の初日、平日で音量は上げられない等、全般的にいい音を聴かせるブースは少なかった。その中で久々に感動する体験が出来たのがヨシノトレーディングだ・・・」

続きを読む -> http://community.phileweb.com/mypage/entry/1978/20121006/33125/

村井さんも田中さんもそんなことは言いっこないですが、感動する体験が出来た理由にSVパネルの設置があると思いますよ。

SVやSVUパネルは、ミッドバスを吸音し一次反射音の高音域を増やす効果が高いので、少量の設置で部屋の雰囲気をガラリと変えることができます。オーディオショウに最適なアイテムです。

<SVUパネルのミッドバス吸音特性>
Svu1800a1sa

WASIN のようにミッドバスの吸音機構が無いアイテムで同じ事をやろうとすると、部屋中を WASIN だらけにする必要があり、不経済極まりないルームチューニングに陥て膨大なコストが掛かります。

ルームチューニングの手順は、まず第一にミッドバスの響の量を最適化し(多くの部屋が100~300Hzのミッドバスの響き過多)音の鮮度をアップする。第二に初期反射音を適正場所に配置して音の佇まいと密度をアップする。

WASIN のような棒状のアイテムは、センターパネルなど、ワンポイントで使う用途に向いています。

Akazu01

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アナログ vs デジタル

ところで、続きの文章のレスの中に
「アナログVSデジタル」は、いつもどこかしらで議論になります。 ・・・ CDの16ビットx44.1kは少なくないのでアナログに連続波形で劣るようなことはないのですが・・・」

ここには大きな落とし穴があります。ボーカルのような16ビットのフルレベルで記録される音は CDの規格で多分OKなのだと僕も思います。しかしボーカルのエコーはどうでしょう、その音量がメインのボーカルの1/10の大きさ(-20dB)であると仮定すると、

-20dBはおよそ -3.5ビットに相当するので、ボーカルのエコーは 12~13 ビットの分解能で表現されていることになります。

12ビットの音は、かなりザラつきがあって歪み感を伴うので、下記の書物に説明がある聴覚の特性を加味すると、CDのフォーマットの無視できないウイークポイントです。

「(耳の)外有毛細胞は、入ってきた振動に応じて伸び縮みし、ちょうどブランコをこぐように基底膜の振動を大きくするポジティブフィードバックの働きを持つ。その結果、基底膜の膨らみは鋭い形となり、音の高さ(周波数)の細かい分析を可能にする。また、それだけでなく、基底膜の振動を最大100倍程度大きくするのである。この機能は、微弱な音に対してはフルに働き、強い音に対してはほとんど働かない。すなわち、微弱な音への感度を高める役割を担っている。」

<音のなんでも小事典 P290 http://www.amazon.co.jp/%E9%9F%B3%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A7%E3%82%82%E5%B0%8F%E4%BA%8B%E5%85%B8%E2%80%95%E8%84%B3%E3%81%8C%E9%9F%B3%E3%82%92%E8%81%B4%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%82%89%E8%B6%85%E9%9F%B3%E6%B3%A2%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1%E3%81%BE%E3%81%A7-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%9F%B3%E9%9F%BF%E5%AD%A6%E4%BC%9A/dp/4062571501/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1349602409&sr=1-1

ボーカルのブレイクでエコーだけが残ったとき、消え入るエコーを追いかけて耳の感度が100倍(100倍 = 40dB ≒ 7bit)に押し上がります。

12 ビットでザラつきを感じる聴覚が、9ビット(16bit - 7bit)の音を 100倍に拡大して16ビットのフルレベルと同じ分解能で聴いてしまうのだから、その風合いが五感に障り、CDはLPに劣ると感じる可能性があります。特にデッドな部屋でその傾向が強くなります。

解決策はDVDやSACDで示されたハイビット・ハイサンプリング化ですが、オーディオマニアが少数民族である悲しさか、 将又マスタークォリティーの流出を恐れる著作権者の抵抗か、失速してしまいました。

反射音

しかしもう一つ、取って置きの有望な解決策があります。部屋をライブにして反射音を増やし、16ビットの離散レベルの中間に反射音を補完してやる方法です。初期反射音(特に一次反射)は実音に類似しており音量が異なる音なので、反射位置と反射角度を適切に制御して実音にブレンドすると補完が起こります。

65,536(2の16乗)種類の離散レベルしか分解能がないCDが再生音のソースであったとしても、65,536のレベルの中間に初期反射音が紛れ込めばザラツキが小さくなります。初期反射音の密度を高くすれば、無限の数の離散レベルを持つアナログのような音であると知覚する可能性が高くなります。

LPは素晴らしいがCDは全くダメ、という部屋は、初期反射音の処理に改善の余地が残されています。

残響音

ところで残響音は実音が沢山の回数壁にぶつかって大きく変形した音なので、初期反射音のような音質のクォリティーを上げる振る舞いは期待できません。初期反射音を有効に使わずに最適残響時間だけ達成したとしても、CDの音がLPの音に近づくようなドラスチックな出来事は起こりません。エコーなど背景の音に粗さが残ったままボケた響が豊かになるだけです。

適切な方向感と適切な周波数特性を兼ね備えた一次反射音が実音にブレンドされたとき、緻密な解像度とアナログ音源のような滑らかさが両立するのです。

例えば WASIN を下記のように設置して初期反射音を3倍増にすると、ボーカルや楽器の佇まいがとても緻密になり、アナログもどきの音が部屋中に満ち渡ります。

Img_3586735w551h

センターに設置した WASIN のサウンドピラーは標準の反射角です。反射音を内側に集めて佇まいと定位を明確にし、音の密度感も高めます。

センターが従える左右の WASIN はサウンドピラーを 0度に変更してあります。定位の発生を殺して音の密度を高める効果だけ使っています。左右の WASIN を Sylvan に置き換えても同じ結果になるでしょう。未確認なので両方お持ちの方、ぜひレポートをお願いします。

<Sylvan>
Sylvan_noe

http://www.noe.co.jp/product/pdt1/pd1_12_06.html

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2012年9月22日 (土)

 オーディオルームの天井材 続き

オーディオルームの天井材・壁材に平角板を使うメリット

1.一本が軽いので、素人工事に向いている。
2.ブーミングの発生を相当量抑制できる。
2.継ぎ目の段差で拡散反射音が増加し、音楽の躍動感が増す。

では、どんな平角板が最適なのかですが、幅100mm以下、厚さは 40mm程度以上です。

幅が100mm を超えるとブーミングが発生する理由はいろいろ推測がつくのですが、測定による解析など理論的な証明はできていません。僕の経験値と言っておきましょう。厚さ 40mmも経験値です。

これらの経験値のルーツはかなり古く、およそ 40年くらい以前に建築した東芝EMIの第三スタジオの設計施工に逆上ります。

重量ブロックと表面にイボ垂れができた焼き過ぎレンガをモルタルで貼り合わせた壁面。イボの凸凹と目地の段差が高音域を拡散反射する
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天井まで積み上げたレンガを(7mくらいと記憶)白ペンキで化粧Studio3wb21735w491h_2

レンガ壁の対向面の壁、壁の下地は鉛合板だが、表面材は記憶がない
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モニタールームの天井裏は(この画像はラージモニター上部)グラスウールをベニア板に貼りつけたパネルだらけ、低音域の吸音層は奥行きが必要
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スピーカーの選択、Altec604でしょう
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スピーカー周辺の隙間を塞いで品定めの試聴
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JBL4320でしょう
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赤坂工芸(Gaus)
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赤坂工芸に決定してドライバーペアの選択
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測定でペアになったものを耳で確認
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ラージモニター設置完了、大きな平面バッフルは楽器の立体感やエコーの奥行きが希薄になるので、バッフル面と天井にリブを付けて一次反射音を整形。これがLVパネルやWasinの原始の姿。
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天井を平角材で構成するのなら、材の方向は必ず前後方向。90度ひねって横にすると音の解像度が大きく低下する。天井が低いと特に顕著。

以下参考画像

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2012年9月21日 (金)

オーディオルームの天井材

デモルームの地固め粗方完了です。ダンプカーの備えがなく、100t 近い砕石をシャベルで動かしたかと思うと感無量です。一年強かかりました。

体力勝負が一段落してやれやれですが、次に待ち受けているのが基礎の墨出し。精度が必要な作業の始まりです。

屋内工事であればレーザー水準器一つあれば精度の高い垂直・水平・角度出しができるのですが、屋外は眩しい太陽にかき消されてレーザーのみではお手上げです。

下記がオークションで手に入れたオートレベル。友人からトランシットも届き、生コンの型枠を作る道具は揃いました。

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http://www.eg.aktio.co.jp/product/tsu/30sokuryou/301kougaku/3011/1061/index.html

ところで一ヶ月近くたってずいぶん鮮度が落ちてしまいましたが、体力勝負の隙間をぬって8月25日、NAGANO国際音楽祭に行ってきました。

Gala_concert340w186h
http://091225.jp/2012/galaconcert/index.html

「ホールこだま」がガラコンサートの会場です。

入場口
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ステージ
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客席
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イワナ釣りに行く道すがら「信州国際音楽村」の看板を見かけてはいたのですが、所在不明の場所でした。行ってみると、菅平高原から浅間山、蓼科山までを見渡す景観抜群の丘の上にあり、野外ホール、研修棟、宿泊棟、レストランなどを完備した音楽施設で一年を通して音楽イベントが開催されていました。この日は関係者の予約が一杯でしたがレストランも好評のようで、お客様をご案内する場所の候補地の一つになりました。
http://www.ongakumura.jp/modules/weblog/index.php?user_id=0&cat_id=2

さてホールですが、見渡す限り木で作られたホールです。現在建設中の32畳のオーディオルームの天井材として、ホームセンターに山積みになっているホワイトウッド(松系の軟材)の 2x4材を若干隙間を開けて敷き詰める案があります。

ゲストハウスを作った経験から、天井材の1ピースは軽いほど素人内装に向いている、しかしオーディオ的には重くなければならない。ならば 1ピースを小さくすれば良い。価格も安いほうが良い。

天井材は高音域のみ拡散反射性で、それ以外は平面反射または若干吸音くらいにしてやると音楽的な躍動感とオーディオ的な解像度を両立させることができます。ホワイトウッドの並びの隙間の凸凹で高音域を拡散し、中~低音域は材の隙間から天井裏に適量逃がしてやるか、裏に遮音板を設けて吸音する構造です。

しかしホワイトウッドの柔らかさにより高音域が吸音される可能性があり、せっかくの拡散反射が吸音力に負けてしまう恐れがあります。現場で考えよう、と長らく結論を持ち越しておりましたが、それを実践した実物がこのホールにありました。

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解像度が必要なオーディオルームでは天井の平角材の横貼りを縦貼りに変更する必要がありますが、隙間を開けて平角材を並べた構造は上記の説明と同じです。信州のホールですから県産材のカラマツでしょうか? ホワイトウッドに比べれば硬い材ですが、オーディオルームの響きとして想像力を働かせると懸念どおり残響音の高音域が足らないですね。

近頃とても入手が難しくなってしまいましたが、SVUパネルのラーチ無ふしに使っている硬質のラーチ合板を加工して天井材にするのが、松の板目が嫌いでなければやはりベストですね。銘木の天井材に比べれば激安です。・・ 昔の価格で且つ大量に手に入れば、ですが ・・。

安価な材に手を加えて Wasin のように高域を拡散反射し、中低域は幾何音響理論どおりに反射する天井材の開発を急がねばなりません。

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コンピュータ・シミュレーションが明らかにした拡散反射音の振る舞い

1980年~95年のバブル最盛期に日本各地に沢山のコンサートホールが誕生しました、その設計支援のために(株)サーロジックがDSPシステムのハードウエアとファームウエアを設計・製作し、日東紡音響エンジニアリング(株)が GUI を開発して製品化した音場シミュレータが ”Symphony36” です。

1991年に幾何音響理論に基づく可聴化音場シミュレーションシステムとして音響学会に研究論文を発表しています。その後”Symphony50” で応用範囲を広げ、海外も含めゼネコン各社の研究施設に納品されました。

Symphony5002

そして音響学会に発表されたゼネコン各社のシミュレーションの成果がコンサートホールの設計法に多大な影響を与えました。その研究成果はリスニングルームにも応用できるものです。

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音の良いコンサートホールは、内部の形状が起伏に富んでいます、

東京オペラシティー
 
Photo

初期反射音の高音域を拡散反射させると、オーケストラの演奏に力強さと躍動感が付加され、音楽をエンジョイできるコンサートホールになると分かってきたからです。

そしてプライベートのリスニングルームでも、楽器の実音の領域(~4kHz)の更に上の帯域の間接音を拡散反射させる壁面を設けると、高音域の残響音が部屋中にちりばめられて楽音の密度が上がり、演奏現場や録音現場の熱気が伝わる音場になることが多数の無償ルームチューンの結果から明らかになりました。

-- 石田健一さん<その3>サーロジック効果を聴く! --
http://www11.ocn.ne.jp/~otokiti/musyasyugyou.html#9

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詳しくは下記ページ参照
http://www.salogic.com/Basic-RoomTuning/Basic-RoomTuning.htm

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2012年7月25日 (水)

上田市の中澤ホールをSVUパネルでチューニング

無償ルームチューニングは 3件/1日のような強行軍があるので、できるだけ楽をしようと  600mm のパネルを積み上げて SV1800sp 相当を作りますが、安全が第一のオーディオショーでは SVU1800sp などの 1本物のパネルを使います。

オーディオショーは春秋 2回が定例で、輸入元の販促ショーなどへの貸出がポチボチなので、1800 サイズのパネルは年に 3~4回の出番しかなく、土蔵の肥やしになっています。

Img_0415735w490h
明治元年登記の土蔵、瓦は当時のまま健在だが、外壁がサイディングで覆われ風格を損なって
いる。いつの日か余裕の時間ができたとき、サイディングを引っぱがして漆喰壁を再生したい。

その肥やしに新しい活躍の場が開けそうです。

長野県上田市の(株)日本ブァイオリンに併設された中澤ホールで開催された 「小森谷巧&松本和将 DuoRecital 」 で、ホールチューニングに SVU1800 パネルを使いました。

Komoriyamatsumoto02
http://www.dolcekomoriya.com/

http://www.kaz-matsumoto.com
http://www.kaz-matsumoto.cocolog-nifty.com/
http://webs.to/matsumoto-fan

制作:リモージュコンサート株式会社
http://091225.jp/

いつもの音と何か違うぞ、と最初に気付いたのは、中澤ホールのピアノを、リサイタルの度に調律している調律技師の斉藤正次さん。

200Hzあたり(G&G#)のふくらみをもう一寸抑えたい、とのリクエストがあり、SV600sp を 2set 追加で運び込んで1800パネルの隙間に置き、下記のような配置になりました。

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打楽器系(Pf)の発音体を囲む壁のボトムの部分を拡散壁にすると、音の切れが向上し、響きが華やかになり、低音の沈み込みが深くなることを再確認しました。ナマもオーディオも全く同じですね。

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客席に木の椅子が並びました。音がより華やいで、やっぱりリハーサルの演奏が最も楽しい音です。お客様がいっぱいになると程良く落ち着いて、しっとりした音になりました。

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小森谷巧さん、松本和将さんからも高評価を頂き、松本さんの中澤ホールでの次のリサイタル(11月)でお使いいただく予約を頂きました。

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もう一つ、僕にとって特別なサプライズがありました。

サインを頂きました。

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クレジットを見ると、溜池の東芝EMI/第三スタジオで録音された楽曲で、このスタジオは僕が東芝EMI在籍中に設計したスタジオです。クレジットが1996年ですから、退社から約 10年後の録音。

ナマ楽器を十分に響かせて人工的な響きを加えることなく音楽制作が出来るように設計した石作りのスタジオです。

モニタースピーカー(赤坂工芸)の中央に、Wasin の原型とも言える Wasin と同じサイズのリブを複数並べ、当時そんな単語はありませんが、「ルームチューン」 を施したモニタールームを備えていました。

施工は日東紡音響エンジニアリング(株)です。日東紡さんに写真残っていないかな ・ ・

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2012年2月24日 (金)

部屋の横長使いで、一次反射音を分散配置

無償ルームチューニングで数々の部屋を拝見しましたが、いつお尋ねしても(十数回でしょう)弾むような躍動感が溢れているのがEVAさんのオーディオルームです。失礼ながらこの雑然としたオーディオルームから整然と楽しい音楽が奏でられる理由が不明でした。

Eva120223

http://am-izu.cocolog-nifty.com/blog/

残響時間だって検聴が目的の業務用スタジオの最適残響時間より短いんですよ。オーディオルームの最適残響時間て何の意味があるの? そんな疑問が湧いてしまうオーディオルームです。
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しかし、いよいよその秘密が解ける日がやってきました。

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■オーディオルームの特性を左右する8種のパラメータ■

1.定在波 : 音楽に与える影響は微々たるもの、無視してもかまわない。

2.フラッターエコー : オーディオルームを新築するのであれば根絶やしにすべし。既設なら若干吸音。

3.ミッドバス振動(床・壁・天井) : 新築であれば根絶やし。既設であればミッドバス吸音。

4.低音振動(床・壁・天井) : 新築であれば根絶やし。既設は方策なしギブアップ。

5.初期反射音 : 反射音が必用な部位は特定できている。新築・既設共に同じ処理でOK => HP参照。http://www.salogic.com/Cheerfulness/Cheerfulness.html

6.初期反射音の周波数特性 : 天井を除きミッドバスを減らした反射音。天井は7kHz前後を若干強調した反射音。

7.残響時間 : 最適残響時間以内であれば長いほど音楽の浸透力がアップする。それ以上になると残響音の周波数特性を正しく整えないと浸透力の低下が始まる。それでも最適残響時間の2割UP程度が限界のようだ。

8.残響音の周波数特性 : ミッドバス(125~250Hz)を若干下げ目にするのがオーディオマニアが納得する透明度を備えた奥行きの深い立体感を醸すコツ。

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■フロント壁面の 「反射/吸音」 のバランス■

本日は上記8個のパラメータのうち、音場に対する影響力が最も大きい初期反射音の配置実験です。

最適残響時間と比較して残響音の響きが大幅に短くて更に残響音の周波数特性にミッドバスの盛り上がりがある場合、ほぼ100%の確率で長時間の音楽鑑賞に堪える音場にはなりません。

そんな部屋であっても、適度な残響音が音楽ソースから醸し出す豊かな音楽性の7~8割程度までで良しと目標を下げるなら、音楽に没頭出来ないおかしな響きの部屋であったとしても、その欠点がリカバリー出来てしまうほど大きな影響力を音場に与えるパラメータが一次反射音です。

下記が標準のパネル配置に加え、前面の石膏ボードをSVパネルの裏返しで覆った写真です。2週間程度このままの状態で、さしたる不満も無く音楽鑑賞が出来ていましたが、経験上まだまだ上が有ることが分かっているので、ルームチューンのレベルアップを図りました。

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左右スピーカーの斜め後方にあるスピーカーパネルと、左右スピーカーの中央に位置するセンターパネルの組み合わせが跳ね返す水平拡散反射音により、演奏ステージの奥行きと、構成楽器の佇まいが再現されますが、

演奏者の指使いなど更に微妙な表情は、スピーカーパネルとセンターパネルの隙間に残る正面壁面の材質の影響を強く受けます。上記写真では裏返しのSVパネルを置いた窓下の部分です。

6畳間の縦使いであれば、スピーカーパネル(SP後方のパネル)とセンターパネルの間には僅かな壁面しか残らず、石膏ボードまたは石膏ボードに壁紙程度の吸音面で丁度良い反射と吸音のバランスになるのですが、本件のように間口が広くて石膏ボードの面積が大きいと、吸音量を減らす工夫が必要になります。

振動しない壁面、またはミッドバスを若干吸音する壁面が基本なので、補強も兼ねて24mmの構造用合板、または、バーチ合板を石膏ボードに張り増すか、裏板がヒノキのSVパネルで石膏面を覆うか、の選択になります。

上記写真は裏板がラーチ(松合板)のSVパネルで覆っていますが、ヒノキの方がこの部位には適しています。ラーチだと板目の凸凹による乱反射で高音域が増えすぎる嫌いがあります。

下記写真が更に最適化を図ったパネル配置です。石膏ボード面の全てを反射に置き換えてしまうと、音場表現力がアップして演奏者の弾きっぷりや熱意が向上し、アンサンブルの細部が聞こえるようになって音楽マニアはOKの意思表示をするのですが、オーディオマニア的な分析をすると、ピンポイントの定位がやや膨らむように感じるのでしょう(だからアンサンブルの微妙な絡みが聞こえるようになるのですが)必ずしもOKとはなりません。

そこで下記写真のように石膏ボード(石膏ボードや壁紙は吸音材)面を若干残すと、音楽マニア、オーディオマニア共にOKのサインを出してくれます。

スピーカーパネルとセンターパネルの隙間が45cmを超えるあたりから上記考慮が必用になります。例えばスピーカーパネルを3連にして隙間を減らす、下記写真のように裏返しにしたSVパネルで反射と吸音のバランスを整える、などです。

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音場が心地良い広さに拡がるよう、補助の反射面の下半分をリブ面にして若干角度を付け、コンクリート床特有の、だだっ広くなってしまう低音の広がりをスピーカー周辺に引き寄せました。

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■部屋の横長使いで、一次反射音を分散配置■

さてここからが今日の本題です。

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① SV1500spパネル、② SV900パネル(_spパネルの一部)、③ SV900サイドパネル。

前方の壁からスピーカーのバッフルまで1250mmなので、②はスピーカーパネルの補助パネルです。

以上の標準設定に加えて、④を追加すると驚くほど音が変わります。

たった一枚のSV1200パネルの追加により、激変と言えるほど音場に厚みが出てVocalの表現力が豊かになり、音楽の躍動感が明らかに増えるのです。EVAさんのサウンドの秘密は、標準的なパネル配置で囲まれたエリアの外側に置いたLVパネルの反射音だったり、ごちゃごちゃといっぱいある過去のオーディオ機器の遺産からの反射音だったりに有ったわけです。

その遺産の置き場所を変えたとき、たまたま居心地が良い音が出れば、そこに遺産が定着する、という繰り返しが作ったセンスの賜の楽しい音場であろうと思います。EVAさんごみ(?)捨てちゃだめですよ。

EVAさんが最新のパネル配置図をUPしてくれました。

http://am-izu.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-0b09.html

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要約すれば、標準配置のSVパネルの外側に、更に拡がりがある部屋の場合、ゲストハウスの例のように、全面石膏ボード貼りの部屋であっても、SV1200を片側1枚加えるだけで、かなり高い完成度の音場を作り出すことができるようです。

最近の音は聴いておりませんが、otoさんの最初の1~2年の私の記憶に残る最盛期の音に比べれば80点くらいでしょう。解像度、奥行き、佇まい、などは遜色がないのですが、無意識に涙が溢れる感激度が足りません。

如何ともしがたい石膏ボード最大の欠点であり、吸音系のオーディオルーム共通の100点まで到達することが不可能な限界点でもあります。

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■簡易センターパネルの試作前の検証■

レーザーを使って角度計測中。

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反射棒だけで作る反射音パネルの難しいところは、フォーカスの甘さをいかに克服するかです。ミッドバスの吸音が不可能なため反射体のサイズと角度が決め手になります。2種類の自立棒を20本ほど作り、いろいろな配列を試したところ二つのパターンが残りました。

下記は従来のセンターパネルに置き換えてのテスト。一日聴き込みましたがSV1200ct比で遜色有りません。Vocalのリアリティーは従来のSV1200ctパネルを超えています。但し低音の制御が出来ないので、ブーミー感が強い部屋や低音の締まりが足りない部屋では低音対策が別途必用になると思われます。

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TVに見立てた裏返しのSVパネルを置いてみました、予想通り奥行きが浅くはなるものの、Vocalのリアリティーは更に濃厚になりました。ミッドバスを吸音しないただの一枚板に換えてみないと(工場から調達して明日テスト)最終結論は得られませんが、Vocalの色彩が余りあるほど出ているので、たぶんOKでしょう。

床面の必用サイズは、320(W) x 100(D)mmです(倒れ防止の考慮なしであれば)。従来TVがあってセンターパネルが置けなかったオーディオルーム兼ホームシアターにとって朗報になりそうです。

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二日程度で結論が得られるとは思っておらず、実験経過の細部まで公開の予定で、いろいろな角度から写真を撮ったのですが、既に完成の域に達してしまったので、遠目の写真でご報告にとどめることにしました。

dekanさんには完成品をプレゼントします。構造が花車で製作の方針が立たないので、プロの家具職人さんにお伺いをたてます。暫くご猶予をお願いします。

http://www.salogic.com/home-select.files/home-138.htm

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